抄録
自己効力感を高めるアプローチが糖尿病患者の行動修正に有効であることが明らかにされているが,セルフケアの遂行という課題に特化した自己効力感の測定尺度が少ないことから,糖尿病セルフケア行動に関する自己効力感レベルを評価するための尺度(SESD)の作成を試みた.当センター外来通院中の糖尿病患者268名を対象として実施したSESDの解析結果から,Cronback α係数は0.81,平均点数は23.9±0.02点で,高齢者と女性で高値を示す傾向が認められた.SESDは,PAID及びHbA1c(JDS値)と有意な負の相関を示し(p=0.0001及びp=0.002),SESDの総点が高い程,感情負担度が低く血糖コントロールは良好となる傾向が明らかになった.SESDは,糖尿病患者の自己効力感レベルのスクリーニングのために,あるいは療養指導の方法と方向性を検討していく際の情報として,有用なツールとなる可能性が推察された.